睡眠時無呼吸症候群に対する治療について

当院耳鼻咽喉科・睡眠外来における睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する治療について

当院のOSASに対する診察、検査、治療方針はできるだけ太田総合病院睡眠科学センターの考えに沿って行うように努力しています。治療方針としては、終夜ポリソムノグラフィー(PSG)で無呼吸低呼吸指数(AHI)が1時間あたり20回以上の患者様に対しては原則CPAP治療をまず行っていただいています。ただし、鼻詰まりのある方はCPAPをうまく使用できずに、無呼吸が改善していなくても離脱してしまうことがあります。その為、鼻疾患を認める患者様に対しては積極的に鼻治療も行い、CPAPを使用しやすい環境を整える方針で治療を行っています。鼻詰まりの評価の為、座位と臥位(仰向けの体制)で鼻腔通気度を測定して起きている時と、寝ている時の鼻詰まりの差を測定器で評価することにしています。

元太田睡眠科学センターで勤務されていた千葉伸太郎先生の報告では、OSAS患者さんの30%に鼻疾患の合併が認められると言うことでした。鼻が詰まることにより口呼吸になるため、いびき、・無呼吸を起こしやすくなる患者様がいます。当院ではこれらに対して念入りな診察を心掛けています。鼻閉改善の為の治療として、点鼻薬、内服薬、外科的治療などがあります。原則まずは点鼻薬と内服薬の治療を行いますが、自覚症状の改善がない場合は外科的治療をすすめております。

  1. 副鼻腔炎により鼻茸ができていて呼吸ができない場合は、内視鏡下副鼻腔根本術を行います。
  2. 鼻中隔の弯曲(わんきょく)により鼻の通りに左右差があり鼻詰まりを認める場合は鼻中隔矯正術を行います。
  3. アレルギー性鼻炎などで、特に夜間に鼻詰まりを認める場合は①下鼻甲介粘膜切開術または②下鼻甲介粘膜焼灼術を行います。

※(1)は片鼻30分前後、(2)は30分前後、(3)は両鼻の10分前後の手術です。
 (3)の②以外は原則入院が必要になります。

咽頭の手術について

UPPP(口蓋軟口蓋咽頭形成術)についてですが、千葉伸太郎先生の治療方針(参考文献睡眠医療Vol.4 No.3 2010)に沿って当院では行うことにしています。

1)適応はPSGで判定された純粋な閉塞性無呼吸の方
2)扁桃腺肥大を認める方
3)肥満ではない方(BMIが26未満)
4)非重症例(AHIが50未満)
5)非小顎の方(顔面軸が86度以上)
6)重篤な全身合併症がない方

手術ではAHIの80%減少が最大と考えています。その為、手術後に再度PSGを行うこと、その結果によっては追加治療(口腔内装置(OA)やCPAPなど)を行う必要があることを患者様に事前に説明した後に手術を検討していただきます。

手術の管理について

UPPPについて術後の死亡率が0.2%との報告があり、特に術後の呼吸障害による合併症が問題となっています。当院では、手術当日の夜間は、NCUでフルフェイスのマスクでCPAPを使用して管理を行います。また、無呼吸の方ののどの手術の日は必ず執刀医である澤田が当直をします。

  • 手術風景
    <手術風景>
  • 手術後夜間NCUでのフルフェイスのマスクのCPAP管理の風景
    <手術後夜間NCUでのフルフェイスの
    マスクのCPAP管理の風景>

UPPP(難口蓋咽頭口蓋垂形成術)の手術前後の咽頭所見について


  • <写真1>

  • <写真2>

▲ → 口蓋垂(世間一般では「のどちんこ」)
★ → 扁桃腺

写真1を見ていただきます。両側の扁桃腺と口蓋垂の間に口蓋咽頭弓(後口蓋弓)と言う水かきのようなところがあり、ここが厚ぼったいと鼻からのどへの通り道が⇔(矢印)のように狭くなってしまいます。今回の患者様はここを広げるために手術を行いました。

写真2のように手術後に形態が変化しているのを確認ください。
写真が斜めになっていて申し訳ありませんが、⇔(矢印)が手術前より長くなっているのが明らかだと思います。手術により鼻からのどへの通り道が広くなることにより、気道が広がるためいびき・無呼吸が減少します。写真では分かりづらいですが、この患者さまは左右の広さだけではなく、前後にも広くなりました。

この手術は扁桃腺がより大きいほうが、いびき・無呼吸が改善しやすい報告があります。
また、口蓋垂が長いと呼吸に合わせてパタパタ動くためいびきの原因になりやすいです。必要に応じて、短くしたり、硬くしてパタパタならないようにもします。

当院のPSGについて

当院で施行したPSGに関しては、東京にある代々木睡眠クリニックでマニュアル解析を行ってもらってます。

高知脳神経外科病院耳鼻咽喉科部長   澤田弘毅
(現在も太田睡眠科学センター非常勤医です。)