慢性頭痛の治療

慢性頭痛の治療とその対策についてお話します。
片頭痛及び緊張型頭痛に対して、病院ではいろいろな治療薬が処方されます。中でも片頭痛に対しては、特効薬ともいえる薬が登場し、治療の選択肢が広がりました。上手に使うことで、痛み発作をかなりコントロールできます。

片頭痛治療

鎮痛薬のほかに、血管の拡張を抑える片頭痛の薬や、頭痛が頻繁に起きて鎮痛薬をたくさん飲む人には予防薬が処方されます。

片頭痛対策

発作時:
  1. 冷やす:冷却シートや冷たいタオルで、こめかみなど頭の前のほうの痛む部分を冷やすのが基本です。冷やすと血管が収縮して炎症が軽くなり、痛みが和らぎます。
  2. ひと眠りする:片頭痛は、ひと眠りすると楽になります。可能なら暗い静かな部屋で横になり、睡眠をとるのがいちばんです。
  3. カフェインをとる:カフェインには、血管を収縮させる作用があり、片頭痛を抑える効果があります。コーヒーや緑茶などを飲むのも一つの方法です。
  4. 頭痛ハチマキ:痛むこめかみあたりを、ハチマキやタオルなどで、心地いいくらいの強さでギュッと縛りましょう。血管の拡張を抑え込むことで、痛みが楽になります。
予防:
  1. 誘因の除去:空腹や寝すぎ、特定の食べ物やお酒、ストレス、気温の変化、まぶしい光や騒音、人ごみなど、自分の片頭痛の誘因をみつけ、可能な限りそれを避けるのも大切です。
  2. マグネシウムをとる:片頭痛の予防にお勧めの食品は、大豆、海藻、黒豆、ひじきなどです。これらの食品に含まれるマグネシウムには、血管を収縮させたり、炎症を抑える働きがあり、痛みの防止につながります。
  3. サプリメントを利用:ビタミンB2にも脳の働きを整え、痛みを改善する働きがあります。またハーブサプリメントのフィーバーフュー(ナツシロギク)には、血小板の凝縮を抑えて、血管が拡張するのを予防する作用があり、片頭痛に対する有効性が言われています。

拡張型頭痛対策

頭痛時:
  1. 温める:温めて筋肉をほぐすことが基本です。蒸しタオルやホットパックで、後頭部 や首、肩を温めます。筋肉の緊張がほぐれて血流が良くなり、痛みが和らぎます。冷やすと一時的に楽になりますが、神経が麻痺する見せかけの改善で、その後かえって悪化します。
  2. 首筋のつぼ:首の後ろの太い筋が、頭の骨にぶつかったところの外側にあるツボが天柱です。両手の中指を当てて押したり、シャワーやドライヤーの温風をあてて刺激するのも効果的です
  3. 肩こり体操:
     首ふり体操:ゆっくり頭の重みにまかせて首を前に倒し、同様にゆっくりと後ろに反らすのを5~10回繰り返します。前に倒すときに息を吐き、後ろにそらす時に吸う深呼吸を加えるとより効果的です。
     スットン体操:両肩をゆっくり上にあげ、そのまま数秒間肩や首の筋肉を緊張させた後、スットンと落とします。落とした時に血液が流れ、老廃物が排出されて痛みを改善します。5~10回繰り返します。
     ヒジテツ体操:肘を曲げ、肘鉄をするように勢いよく腕を後ろに引きます。その状態でしばらく止めてから、力を抜いて息を吐きながらゆっくり腕を戻します。肩甲骨の後ろ側の筋肉がゆるみ、凝りや痛みが和らぎます。5回程繰り返します。
予防:
  1. 姿勢を改善:頭の重さはだいたいスイカ2個分です。うつむき姿勢や猫背では、首や肩の筋肉への負担が大です。デスクでは椅子を低めに、台所では調理台を高めに調節しましょう。
  2. 枕を工夫:枕が高すぎると、寝ている間に首や後頭部の筋肉に凝りが生じ、頭痛のもとです。朝起きると頭痛がする人には、バスタオルを2~3回折ったものや薄い羽根枕などの利用がお勧めです。

頭痛市販薬の使用について

頭痛がひどいから、市販薬でごまかすという方がかなり多いようです。でも、その市販薬を飲み続けていれば、頭痛はなおるのでしょうか?

市販の鎮痛薬を多用することは危険です。飲みすぎると「薬剤誘発性頭痛」という、薬が切れたことにより起こる頭痛になってしまうのです。それを避けるためには、市販鎮痛薬の使用は週2回までと制限し、月に10回までと決める。配合のシンプルなものを選ぶことが重要です。

しかし、それ以上飲まなければならないような頭痛は、頭痛外来を受診することをおすすめします。なぜなら、そういった頭痛は、危険な頭痛である可能性が高いからです。鎮痛薬の服用は、頭痛を完全に治すというわけでなく、維持的に痛みを和らげる「対症療法」でしかないのです。原因をつきとめて治す方が、頭痛から早く解放されるための一歩です。

頭痛について

片頭痛患者は約840万人いるのですが、「忙しい」 「しばらく我慢すると治る」といったことで約3割の方しか受診しません。また受診してもその59%が脱落します。脱落患者の半数は正しく診断されていません。
このようにこれまで頭痛患者さんは、勇気を振り絞って受診しても、正しく診断されない、適切な治療が行われない、検査でなんでもないと言われたなどの理由で病院に行かなくなります。しっかり話を聞いて治療してくれる病院が少なかったのです。
頭痛外来の古典的な使命は危険な頭痛を診断し、治療することです。

最も怖いのは、命にかかわるくも膜下出血などの頭痛です。CTやMRI(磁気共鳴画像装置)検査で、その有無を確認する必要があります。しかし、それで異常がないと、"それでおしまい"ということが多く、片頭痛などは治療されることがなかったので、患者さんは満足していなかったのです。

しかし、この10年間で片頭痛の予防薬や発作の治療薬が登場し、治療の選択肢が増えました。生活に支障がない程度に改善させるという目標も、達成可能になっています。片頭痛は治療が必要な病気です。市販薬を数回飲んでも改善しないような場合は、医療機関を受診して下さい。
当院の頭痛外来では、様々な頭痛に対して専門的な治療を行っています。

頭痛外来では、脳神経外科専門医で日本頭痛学会に所属している院長が直接お話しを伺い、疑われる頭痛に対して必要な検査をそれぞれの患者さんに合わせて行います。CT、MRI検査、頸椎などのレントゲン検査、生活習慣病の関わりが考えられる場合は、採血などを行います。
全ての検査は予約の必要がなくその日の内に結果をお話し(採血検査は数日を要します)、必要な治療などのご相談を行います。頭痛でお悩みの方は、お気軽に受診ください。

以下、頭痛について詳しく解説して行きます。

日本人の40%は頭痛もち

「頭が痛い」ことが多いこの世の中、今まで頭痛を経験したことがない人はいないでしょう。最近の調査では、頭痛もちの人は15歳以上の日本人の約40%という結果がでています。

頭痛の種類

頭痛のには大きく分けて「急性頭痛」、「慢性頭痛」、「その他の頭痛」の3つがあります。慢性頭痛には、「緊張性頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」があります。

頭痛はどうしておこるの?

頭痛は、主に頭の血管と肩や首、後頭部の筋肉の問題で起こります。緊張型頭痛は主に肩や首、後頭部の筋肉や神経の緊張が原因と考えられています。片頭痛は頭の血管のまわりにある三叉神経が刺激され、いろいろな物質が出てきて血管を拡げ、頭痛を引き起こしていると考えられています。群発頭痛は頭の血管の拡張が原因です。

急性頭痛-気をつけなければならない怖い頭痛

何らかの脳の病気が原因で、激しい痛みが突然起こるのが急性頭痛です。ほうっておくと命にかかわることもあり、たいへん危険です。代表的なものにはくも膜下出血、脳出血、脳腫瘍があります。下記のような頭痛の特徴が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

  • 今までに経験したことのない程の激しい頭痛
  • 突然に起こった頭痛(突発完成型)
  • 早朝頭痛ないし朝方に起こる頭痛(目覚まし型)
  • 強烈な頭痛
  • 長期間続く頭痛
  • 日毎に段々ひどくなる頭痛
  • 麻痺・しびれを伴う頭痛
  • 意識が冒されたり、訳のわからないことを言う頭痛
  • 言葉が喋りにくい、呂律が回らない頭痛
  • ボケを伴う頭痛
  • 視力が弱くなったり、ものが二重に見える頭痛
  • めまいや嘔吐を伴う頭痛
  • いきんだり、頭を振るとひどくなる頭痛
  • 高熱を伴う頭痛

慢性頭痛

他の病気と関係なく、毎日あるいは1週間おきなど、周期的に繰り返し起こる頭痛です。日本人の15歳以上を対象にした調査では、緊張型頭痛が圧倒的多く22%で慢性頭痛の約半数を占め、次いで片頭痛が8.4%でした。
つまり840万人が片頭痛と推定されています。命にかかわることはありませんが、日常生活に支援を来すこともあります。

緊張型頭痛

一般的に両側からじっと締め付けられるような重い痛みです。原因は長時間不自然な姿勢を続けたり、身体的また精神的ストレスによって、頭の筋肉が緊張して起こると考えられています。前かがみやうつむき加減の姿勢は頸椎に負担がかかるので、頭痛を起こしやすくします。長時間作業をしている人は、なるべく同じ姿勢を続けないようにし、仕事の合間に背伸びをしたり、軽いストレッチをして筋肉の緊張をほぐすようにしましょう。眼鏡や枕が合わないことによって、身体にストレスがかかり、頭痛が起こることがあります。日常使用するものは自分に合ったものを使いましょう。また、気分転換にスポーツをするなど、ストレスをためないようにすることも大事です。血管の緊張を和らげるため、蒸しタオルなどで首筋を暖めるのも効果的です。

片頭痛

片頭痛は頭の片側に起こることが多くズキズキと脈打つ激しい痛みが比較的急に起こって、音や光に敏感になり、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。月に1~2回、多い時で週に1回程度繰り返して起こります。頭痛は数時間から2~3日間持続して、自然に治ります。女性に多く、家族に片頭痛の人がいると起こりやすくなります。緊張性頭痛とは反対に、ストレスから解放されたときに起こります。前兆として、視野が欠けたり、光がチカチカするようなこともあります。片頭痛は食事や睡眠をきちんととらなかったり、睡眠のとりすぎによって起こりやすくなります。チーズやチョコレート、ワインなどは片頭痛を起こしやすくするといわれています。片頭痛が起こったら、患部を冷やして光の入らない静かな暗い部屋で安静にしていましょう。治療薬としては片頭痛を起こりにくくする予防薬と発作時の痛みを抑えるトリプタン製剤などの薬があります。

群発頭痛

年に1度ほど1ヶ月くらいの間、一定の時刻になると1~2時間毎日のように片目がえぐられるような激しい痛みが起こります。20~30代の男性に多くみられ、お酒を飲むことによって起こりやすくなります。特に睡眠中に起こりやすく、痛みのある方の側の目が充血したり、涙が出たり、鼻づまりが起こることがあります。治療には、酸素の吸入が用いられます。頭痛が起こりそうになったら深呼吸が効果的です。アルコールは頭痛が起こる原因となりますので、頭痛がある時期には禁酒が必要です。薬には予防的にはエルゴタミン製剤など、発作時にはトリプタン系の注射薬が効果があります。

その他の頭痛

薬剤誘発性頭痛:
エルゴタミン製剤や鎮痛剤などを過剰に連用することにより、かえって頭痛が悪化することがあります。これは薬剤誘発型の頭痛で薬剤誘発性頭痛といいます。痛みがひどくてもむやみに鎮痛剤を連用するのは避けなければいけません。

市販薬の使用について

頭痛がひどいから、市販薬でごまかす方が多いようです。でも、その市販薬を飲み続けていれば、頭痛は治るのでしょうか?
市販薬の鎮痛薬を多用することは危険です。飲みすぎると「薬剤誘発性頭痛」という、薬が切れたことにより起こる頭痛になってしまうのです。それを避けるためには、市販鎮痛薬の使用は週2回までと制限し、月に10回までと決める。配合のシンプルなものを選ぶことが重要です。しかし、それ以上飲まなければならないような頭痛は、頭痛外来を受診することをおすすめします。なぜなら、そういった頭痛は、危険な頭痛である可能性が高いからです。鎮痛薬の服用は、頭痛を完全に治すというわけではなく、一時的に痛みを和らげる「対処療法」でしかないのです。原因をつきとめて治すほうが、頭痛から早く解放されるための一歩です。