
アルツハイマー型認知症は
- だれでも罹る病気です:レーガン元米軍大統領など偉い人でも罹ります
- 薬があります:よく聞く人では進行が非常にゆっくりになる場合があります
- 経過はきちんと治療・ケアを行えば10年以上でする:急激にすべてを失うわけではありません
家族に対する説明
- 脳の神経細胞が壊れていく病気であり、診断が正しければ症状は進行・悪化していく。
- この病気の最大の特徴は、日常生活でできることが少しずつ減ってくることである。従って、できなくなってきたことを家族や周囲の人々が手助けする必要があります。
- 患者さん自身には、自分が病気になっているという認識が無いあるいは乏しい。そこを理解できないと、上手な介護、適切な対応を行うことが難しくなります。
介護家族に対する指導の原則
- アルツハイマー病は病気であるという認識を家族に十分説明します。
- 叱る、怒る、なじる、教育しようとする、ばかにする、などの接し方は最も拙劣な対応です。
- 患者さんの考動や言動を理解する、受容する、支援する、手助けする姿勢が基本です。
- ベストの介護よりベターな介護を目指す。
中核症状と周辺症状があります
1.中核症状
記憶障害(もの忘れ)
見当識障害(日時、場所がわからない)
失語(言葉の障害)
失行(行為の障害)
失認(認識の障害)
実行機能障害(日常生活ができない)
2.周辺症状
陽性症状:幻覚、妄想、暴力行為、暴言、徘徊、不隠、せん妄
陰性症状:意欲の減退、自発性の低下、関心の低下、感情鈍麻、抑うつ状態、拒食、拒薬
(1)中核症状を理解する
認知症=痴呆 (2004年12月厚労省「委員会」で「認知症」に呼称変更)
呆=ぼーっとする、うっかりする=注意障害、感情障害
痴=認知障害
(2)中核症状に対する治療
1にケア、2に非薬物療法、3に薬物療法
非薬物療法
- デイケア、デイサービスの利用
- 回想法、音楽療法、レクリエーションなど
- 家族の介護軽減にもなるので悩むよりはやってみるべきである
薬物療法
アルツハイマー型認知症の病態は、加齢にアセチルコリンなどを分泌する神経細胞の機能
低下・細胞死が起こり、アセチルコリンが減少し、脳全体の活動が低下します。
ドネぺジル(アリセプト)は脳全体を活性化します。「呆」に効き目があります。
投与後短期間で見られる効果(3日~1ヶ月ででる)
- 注意力の向上(頭の霧が晴れるなど)
- 機能の改善(意欲・活気が出る、笑顔が出る)=険しい顔が柔和になる
- 焦燥感(イライラ)の低下(落ち着く)
- 認知機能テストでの成績向上
投与後の長期間でみられる効果
- 海馬などの萎縮の抑制
- 脳血流の維持
- 認知機能テストの成績低下の抑制
- 日常生活活動の維持
効果について
- 基本的には、進行を抑える薬であり、認知症を治す薬ではありません。
- 人によって効果は大きく異なります。しかし、投与前に効果を予想することはできません。
- 投与初期にh、人によっては注意力の向上や活気が出ます
- 中断すると進行を抑える効果が失われますが、数日の中断は大きな問題にはなりません。
- 3mg/日から開始し、1~2週間服用してもらいます。問題が無ければ、5mg/日を服用します。
副作用について
- 主な副作用は、吐き気、食欲不振、体重減少です。軽度であれば、十分水分を与えてそのまま
様子を見てください。強ければ、一旦中止して受診して下さい - 本人に薬の管理をさせないでください
患者によりドネぺジル(アリセプト)の効果は異なります。
効くか効かないかは投与してみないとわかりません。
早期の治療が効果が強くでます。
周辺症状に対する治療
1.薬物療法
- 不適切な薬剤の中止
- 適切な抗精神薬の使用
- 症状が改善してくれば漸減する
- デイケアの利用などで、日中の覚醒を計れば不眠が改善します
- プロの介護者に接してもらい、誉めてもらうと易怒性などが改善します
- 副作用はない
物盗られ妄想の臨床像
- 単一の妄想としては、認知症疾患で最も頻繁にみられます。18%から43%
- 女性患者さんにより多い
- 盗まれるものは、お金や財産、通帳など金銭に関連するものが多い。ただし、下着や着物など些細なものを盗まれると訴える場合も少なからずみられます
- 妄想の対象(犯人)は、同居介護者(お嫁さんが多い)あるいは身近なもの(隣人、知人)が多い。
- 妄想の対象に、攻撃性や罵声を向けることがある。
- 薬物療法に反応しにくい。
物盗られ妄想に対する非薬物療法
- 患者さんの訴えを肯定的に受容する、拝聴することが大切です。患者さんの世界を推測して対応します。
- 最も拙劣な対応は、患者さんの訴えを頭から否定する、説得しようとする態度です
- 患者さんの関心や興味を別の方向に向けます。「わかりました、まずおやつを食べてから、盗まれたものを探しましょう」
- 患者さんにできる役割を与える。一時的に物盗られ妄想にこだわらなく。
- 2~3年すると消える場合もある。ずっと続くわけではありません。
幻覚・妄想に対する薬物療法の実際
- 否定型抗精神病薬が第一選択
リスぺリドン・フマル酸クエチアピン - 少量投与から開始し漸増していく。最大量はリスぺリドン2mg前後、フマル酸クエチアピン
100~150mg前後とする。 - これらの薬剤が著効を示すケースもあるので使用する価値はあります。
興奮・焦燥の原因は?興奮・焦燥はいつ生じる?
- アルツハイマー型認知症の進行によるもの
- 好ましくない環境・身体状況の悪化(便秘、熱、かぜ、)によるもの
- 不適切なケアによるもの
認知機能をみるMMSEテスト1~23点/30点満点では31%に不隠・興奮があります。
MMSEテスト10点で起こりやすく、患者ごとに峠があります(=7,12,17点)。峠を越えるとしばらく起こりにくくなります。 なぜ易怒性・暴力行為が生じるのか?
患者がとんちんかんな言動・行動をする
↓
家族が病気をできていないと、叱る、怒る、注意する
↓
患者は病識がないので、なぜ怒られているかわからない
↓
被害的思考が生じ、家族にいじめられている、邪魔者扱いされていると思う
↓
えい、殴ってやろう!ばか野郎!となる
暴力行為・焦燥・威嚇行為に対する非薬物療法
- 家族の対応が不適切な場合、患者さんが怒りやすい、暴力行為に及ぶことがあります。
- 患者さんの考えを共感しながら拝聴する、患者さんの誤りをあからさまに注意せず、手助けするように心がけます。
- しつこく注意したりしない、身体的な危険がないときには、患者さんの好きなようにさせてあげます。
暴力行為・焦燥・威嚇行為に対する薬物療法
- 非定型抗精神病薬:リスぺリドン・フマル酸クエチアピン
- 抗てんかん薬:カルバマゼピン・バルプロン酸ナトリウム



